婦発第47号

労働基準法第18条第3項(強制貯金)の条文

労働基準法第18条(強制貯金)

1 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。

2 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。

3 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。

4 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。

5 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。

6 使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。

7 前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。

労働基準法第18条第3項(強制貯金)の解説

趣旨:任意の貯蓄金管理の場合における管理規程に関する規定

本項は、使用者が労働者からの委託を受けて貯蓄金(任意貯蓄金)を管理する場合における管理規程について規定しています。

【意味・定義】任意貯蓄金とは?

「任意貯蓄金」とは、労働契約に付随することなく、また、強制貯蓄のものではない、労使が合意した任意の貯蓄金をいう。

本項により、使用者が労働者の貯蓄金の管理を受託する場合、使用者は、管理規程を定め、かつ、労働者に対し、周知しなければなりません。

なお、任意貯蓄については、この他にも、労使協定の締結および届け出(第2項)、利子の付与(第4項)、貯蓄の返還(第5項)の義務があります。

用語の定義

「貯蓄金の管理に関する規程」とは?

【意味・定義】貯蓄金の管理に関する規程とは?

「貯蓄金の管理に関する規程」とは、使用者が任意貯蓄を管理する場合における取扱方法等を規定した社内規程をいう。

貯蓄金管理規程については、特に記載事項について明記されていませんが、解釈例規によると、次の事項を規定する必要があります(基発第675号(昭和27年9月20日)、基発第150第号・婦発第47号(昭和63年3月14日)。後掲)。

任意貯蓄管理に関する労使協定の法定規定事項(社内預金の場合)
  • 預金者の範囲
  • 預金者一人当たりの預金額の限度
  • 預金の利率及び利子の計算方法
  • 預金の受入れ及び払いもどしの手続
  • 預金の保全の方法
任意貯蓄管理に関する労使協定の規定事項(通帳保管の場合)
  • 預金先の金融機関名及び預金の種類
  • 通帳の保管方法
  • 預金の出し入れの取次ぎの方法

労働基準法第18条第3項(強制貯金)違反の効果・罰則

本条に違反し、貯蓄金管理規程を定めず、またはその周知をしなかったとしても、これについて、労働基準法では特に罰則の規定はありません。

ただし、「本条の要件を満たさず、これに違反して預金の受入れを行つた場合は」、出資法第2条第1項違反となります(基収第1935号(昭和23年6月16日)。後掲)。

この場合、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされています(出資法第8条第3項第1号)。

労働基準法第18条第2項(強制貯金)に関連する法令

労働基準法施行規則第5条の2

労働基準法施行規則第5条の2

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、法第18条第2項の協定には、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。

(1)預金者の範囲

(2)預金者一人当たりの預金額の限度

(3)預金の利率及び利子の計算方法

(4)預金の受入れ及び払いもどしの手続

(5)預金の保全の方法

労働基準法第18条第3項(強制貯金)の解釈例規

基発第675号(昭和27年9月20日)、基発第150第号・婦発第47号(昭和63年3月14日)

労働基準法第十八条第三項の規定に基づく貯蓄金の管理に関する規程には、貯蓄金の管理がいわゆる社内預金である場合には、施行規則第五条の二の規定により定められている事項及びそれらの具体的取扱い、それがいわゆる通帳保管である場合には、預金先の金融機関名及び預金の種類、通帳の保管方法、預金の出し入れの取次ぎの方法等について規定させること。

基収第1935号(昭和23年6月16日)

法第十八条第二項の規定による協定又は届出をせずに貯蓄金の管理をする使用者の処罰については、罰則の定めがないがその処罰方法如何。
単に協定又は届出の手続きを怠つただけでは労基法上の罰則の問題は生じない。なお、本条の要件を満たさず、これに違反して預金の受入れを行つた場合は、「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」第二条第一項にも違反することとなるが、同条項の違反については、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている(同法第二条第一項)。