労働基準法第19条第2項(解雇制限)の条文

労働基準法第19条(解雇制限)

1 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

労働基準法第19条第2項(解雇制限)の解説

趣旨:やむを得ない事由による解雇の場合の認定を規定

本項は、前項(第19条第1項)ただし書き後段の場合、つまり「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」における「やむを得ない事由」に関する行政官庁(労働基準監督署長)の認定について規定しています。

「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」は、前項の例外として、解雇制限を受けません。

ただ、「やむを得ない事由」については、使用者が一方的に判断することは適切でないため、労働基準監督署長が判断することとなっています。

用語の定義

「事由」とは?

ここでいう「事由」は、前項の「天災事変その他やむを得ない事由」のことであり、「天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由の意であり、事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともし難いような状況にある場合」を意味します(基発第150号・婦発第47号(昭和63年3月14日)。後掲)。

具体的には、次のものが該当します(同上)。

「天災事変その他やむを得ない事由」の具体例
  • 事業所が火災により焼失した場合。ただし、事業主の故意又は重大な過失に基づく場合を除く。
  • 震災に伴う工場、事業所の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能になった場合。

「行政官庁」とは?

本条にいう「行政官庁」とは、労働基準監督署長のことです(労働基準法施行規則第7条。後掲)。

労働基準法第19条第2項(解雇制限)違反の効果・罰則

本条に違反して、労働基準監督署長からの認定を受けることなく「やむを得ない事由」を理由として解雇制限の期間中に解雇した場合は、労働基準法第119条により、「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」に該当します。

労働基準法第119条

次の各号のいずれかに該当する者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

(1)第3条、第4条、第7条、第16条、第17条、第18条第1項、第19条、第20条、第22条第4項、第32条、第34条、第35条、第36条第6項、第37条、第39条(第7項を除く。)、第61条、第62条、第64条の3から第67条まで、第72条、第75条から第77条まで、第79条、第80条、第94条第2項、第96条又は第104条第2項の規定に違反した者

(2)第33条第2項、第96条の2第2項又は第96条の3第1項の規定による命令に違反した者

(3)第40条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者

(4)第70条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第62条又は第64条の3の規定に係る部分に限る。)に違反した者

労働基準法第19条第2項(解雇制限)に関連する法令

労働基準法施行規則第7条

労働基準法施行規則第7条

法第19条第2項の規定による認定又は法第20条第1項但書前段の場合に同条第3項の規定により準用する法第19条第2項の規定による認定は様式第2号により、法第20条第1項但書後段の場合に同条第3項の規定により準用する法第19条第2項の規定による認定は様式第3号により、所轄労働基準監督署長から受けなければならない。

労働基準法第19条第2項(解雇制限)の解釈例規

基発第150号・婦発第47号(昭和63年3月14日)

法第十九条及び法第二十条に規定する「天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった」として、認定申請がなされた場合には、申請事由が「天災事変その他やむを得ない事由」と解されるだけでは充分でなく、そのために「事業の継続が不可能となった」になることが必要であり、また、逆に「事業の継続が不可能」になつてもそれが「やむを得ない事由」に起因するものでないない場合には、認定すべきで限りでないこと。
(一)「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由の意であり、事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともし難いような状況にある場合をいう。
(1)次の如き場合はこれに該当する。
イ 事業所が火災により焼失した場合。ただし、事業主の故意又は重大な過失に基づく場合を除く。
ロ 震災に伴う工場、事業所の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能になった場合。
(2)次の場合は、これに該当しない。
イ 事業主が経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械、資材等を没収された場合。
ロ 税金の滞納処分を受け事業廃止に至つた場合。
ハ 事業経営上の見通しの齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由に起因して資材入手難、金融難に陥つた場合。個人企業で別途に個人財産を有するか否かは本条の認定に直接関係がない。
ニ 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がなく、ために事業が金融難に陥つた場合。
(二)「事業の継続が不可能になる」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいうのであるが、例えば当該事業場の中心となる重要な建物、設備、機械等が焼失を免れ多少の労働者を解雇すれば従来通り操業しうる場合、従来の事業は廃止するが多少の労働者を解雇すればそのまま別個の事業に転換しうる場合の如く事業がなおその主たる部分を保持して継続しうる場合、又は一時的に操業中止のやむなきに至つたが、事業の現況、資材、資金の見通し等から全労働者を解雇する必要に迫られず、近く再開復旧の見込が明らかであるような場合は含まれないものであること。