労働基準法第1条第2項(労働条件の原則)の条文

労働基準法第1条(労働条件の原則)

1 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

労働基準法第1条第2項(労働条件の原則)の解説

趣旨:労働条件の引下禁止・向上義務を規定

本項は、労働関係の当事者、特に使用者に対し、労働条件の引下禁止と向上義務を規定した条項です。

用語の定義

「労働条件」とは?

【意味・定義】労働条件とは?

「労働条件」とは、一般に、労働者の職場における一切の待遇をいう。

労働条件は、労働基準法をはじめ、各種法律では明確な定義がありません。

ただし、日本国憲法第27条第2項の「勤労条件」は、ここでいう労働条件と同義であるとされています。

日本国憲法第27条

1 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3 児童は、これを酷使してはならない。

なお、ここでいう労働条件には、具体的には、次のものが含まれます。

労働条件の具体例(一部)
  • 契約期間
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 労働時間
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金
  • 災害補償
  • 安全衛生
  • 福利厚生

「労働関係の当事者」とは?

【意味・定義】労使関係の当事者とは?

「労使関係の当事者」とは、使用者、労働者、使用者団体、労働組合をいう。

「この法律を基準として」とは?

【意味・定義】この法律を基準としてとは?

「この法律を基準として」とは、「労働条件の低下がこの法律の基準を理由としてゐる」ことををいう。

「この法律を基準として」とは、「労働条件の低下がこの法律の基準を理由としてゐる」ことを意味します(発基17号(昭和22年9月13日)。後掲)。

よって、「経済諸条件の変動に伴うものは本条に抵触するもの」ではないとされています(同上)。

また、労使が「法律の範囲内で労使の自主的な話合い」を「行うことは労働基準法第一条第二項との関係で特に問題はない」とされています(基発第151号・婦発第69号( 昭和61年3月20日)、基発648号(平成9年9月25日)。後掲)。

労働基準法第1条第2項(労働条件の原則)違反の効果・罰則

本項の違反には、特に罰則はありません。また、労働条件の向上義務については、「努めなければならない」とあるとおり、努力義務とされています。

なお、労働条件の引下禁止については、強行規定であるとする説がありますが、訓示規定であるとする説が有力です。

労働基準法第1条第2項に関連する法令

日本国憲法第27条

日本国憲法第27条

1 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3 児童は、これを酷使してはならない。

労働基準法第1条第2項(労働条件の原則)の解釈例規

発基第17号(昭和22年9月13日)

第二項については労働条件の低下がこの法律の基準を理由としてゐるか否かに重点を置いて認定し経済諸条件の変動に伴うものは本条に抵触するものとしないこと。

基発第151号・婦発第69号( 昭和61年3月20日)、基発第648号(平成9年9月25日)

女性の保護基準の改正を契機とした労働条件の改定については、法律の範囲内で労使の自主的な話合いにゆだねられていることはいうまでもないことであり、また、労使が今回の法改正の趣旨に沿つてそれを行うことは労働基準法第一条第二項との関係で特に問題はないものであること。